初めての人が気になる人が多い鍼。
しかし全員ではないのですが注射のイメージが連想されることが多いようで
痛そうというイメージを持ってる人が割といます。
そんな鍼ですが実際の所どうなのか?
今回はそんな方々に向けて鍼の刺激の程度や痛くなる条件などを含めた
様々な起こりうる話をしていこうと思います。
鍼が痛そうに見える原因の一つである注射が痛いのは注射を打つ人の腕にも問題あり?
鍼の話をする前に注射が痛い事について触れていきましょう。
注射=痛いとなるのは注射を受ける方に力が入っているという場合もありますが
打つ方にも問題があるようです。
それを実感させられたのは筆者が中学校の時予防接種をしてもらった
とある先生にやってもらった時の話です。
その先生は幼少期からお世話になっているやり手だった小児科の先生で
正直それまで打ってもらった人は何かしら痛かったですが
その先生だけは違いました。
消毒を終えていざ予防接種する次の瞬間
「フン!」
と掛け声をし出したのです。
何事かと思っている間に既に注射は終わっていたから驚きです。
つまり痛くなかったのです!
後にも先にもその時の注射が唯一快適に過ごせたという瞬間でした。
注射の打つ人の腕でこんなにも変わるんだと軽く感動を覚えたものです。
そんなわけで以下から鍼の痛くならない理由や痛くなる理由をお届けします。
鍼が痛くない理由
ここでは鍼が痛くない理由を取り上げていこうと思います。
鍼師の腕の問題も勿論ありますが、道具の性能も一役買っていて
その技術力も企業努力により日々進歩している所も見逃せません。
鍼の太さは注射の鍼より基本細い ?
そもそも鍼灸で使う鍼は注射の針より基本細いです。
といっても、どれくらい細いかわからないと思いますので
注射の針と鍼灸で使う鍼のよく使うであろう種類を3つずつ挙げてみました
注射針の太さ表
注射針の種類 | 太さ(mm) |
採血用 | 約0.81前後 |
一般的な予防接種用 | 約0.41前後 |
予防接種用「ナノパス33」 | 約0.20前後 |
鍼灸用の鍼の太さ表
鍼の太さの番号 | 鍼の太さ(mm) |
1番 | 0.16 |
2番 | 0.18 |
3番 | 0.20 |
双方結構な種類のサイズがありますが、その中でも3つずつデータを用意しました。
※注射の針はゲージという単位を使いますがそれではわからないので
わかる数値に記載しなおしています。
どちらも細いという事はわかりますが、特に鍼の細さは際立ってますね!
見ていただくとわかりますが、0.2mmもないんですよ。
一般的に使われる予防接種の針の半分なわけですから、
注射をイメージして怖いと思ってる方が実際鍼を受けると
いい意味で面食らうはずです!
※予防接種の針もここ最近では細さを追及して鍼と互角に渡り合えるナノパス33というものを使用している所もあるが、お値段がやや割高らしい
更に巷で流行っているであろう美容鍼に使う鍼はもっと細くで
0.1mm~0.14mm辺りのものを使ったりするんですよ?
余談ですが
痛そうと思わせてるであろう原因のもう一つである中国の鍼。
細くて短めのものを使う日本の鍼と違い、太くて長い為
インパクトは抜群なのは無理もありません。
更に背中の骨に平行してそれを入れたりすることもあると聞いたら・・
それにしても注射針も進化してきたものですねえ・・。
注射が痛くないと言われる比率が上がる日も近いかも?!
鍼の先にも工夫がされているものも出てきた
鍼を作っている会社の企業努力により注射の針の細さと同様に
鍼先にも工夫をする鍼が出てきました。
これも何種類かあるので全て説明するとキリがないので一つだけ紹介します。
一言でいうと従来の鍼先よりやや丸みがある!
丸みがあるから何なんだ?と思う方もいるかもしれませんが、これが結構重要で
鍼を入れた時の当たり(刺激)が優しくなりやすくなる効果があるんですよ!
管を使ってトントンする打ち方が痛みを減らす役割になっている
日本の鍼には鍼と一緒に鍼管と呼ばれる管が付いています。
鍼管に鍼をセットして鍼管から少し出てる鍼の柄を
指でトントンしながら鍼を入れる管鍼法というものがあります。
最初のトントンは釘を打つときの本入れの前のものと同じような意味合いがあり
そこから鍼を入れていくことで痛みが最小限になるというわけですね!
そんな鍼管を使った打ち方である管鍼法を編み出したのは
江戸時代の鍼灸師である杉山和一と言い伝えられています。
従来鍼が伝わって来た頃は管を使わずに打つのが主流だった頃
杉山和一は鍼があまり上手ではありませんでした。
そんなある時道端で転んだ際、枝が身体のどこかに刺さってしまったのですが
その時痛みをあまり感じなかったのに気が付き、それをヒントに
管鍼法編み出したと言われています。
この打ち方を編み出した杉山和一は鍼灸師としての頭角を現し、
5代将軍である徳川綱吉の専属の鍼灸師となったと言われています。
因みに現代でも鍼管なしで打つ人もいて
もちろん痛くない打ち方は出来ますが、技術が必要になってきますが
専門学校では基本的に管鍼法で教えているはずなので
管を使わない打ち方(捻鍼法)を習いたい場合は一工夫が必要です。
鍼が痛い理由
鍼が基本痛くない事は上記で説明していきましたが、痛い理由ももちろんあります。
どうしてかを知る事で納得も出来るでしょう。
基本的に鍼師の方が事前や最中に言っているであろう痛くなる原因と
鍼を刺しているときにあり得る刺激について話していこうと思います。
最初のトントンで痛みが出ることがある「切皮痛(せっぴつう)」
鍼は皮膚を貫通して奥の筋肉めがけて刺していくのですが
皮膚を貫通させる際に皮膚はしっかり張らせた状態で刺す時の
トントンと叩く最初の所作を切皮というのですが
その張りが甘かったり、ちゃんと張った状態だったとしても
その皮膚を通過するときに痛みが起きるものこそ切皮痛といいます。
鍼が毛穴に入ってしまった
これは理屈抜きで普通に痛いです。基本毛穴は避けて入れていくのですが
どうしても稀に毛穴に入ってしまう時が出てしまいます。
程度は大小ありますが、チクッとした後暫くじんじんとする感じになるはずです。
刺している場所が固すぎる
鍼を刺すべき場所が疲労が溜まり過ぎたりなどにより
筋肉が固くなってる場所があります。
そこに鍼を使う時はどうしても痛くなる確率が上がってしまうわけです。
その為少しでも痛みを減らすべく先にほぐしたりしてからする方法もありますが
それでも痛みが出ることはどうしても起きる場合があるので覚えておきましょう。
鍼を連続使用による劣化で切れ味が悪くなった
基本鍼は使い捨てなので新品なのになんでだ?と言う事になるでしょう。
鍼の打ち方に刺したり抜いたりを繰り返してやる方法である
単刺と言うものがあるわけですが、人体も脂がありますよね?
料理で肉を包丁使って切る時と同じように、
鍼も使い続けていくうちに切れ味が悪くなります。
包丁なら棒状の研ぐ道具などで油を落としながら切れ味を回復させながら切れますが
鍼はそういうものはありませんのでその時は新しい鍼に替えます。
術者もその辺りは見極めて行っているはずですが、
それで痛くなる場合もあると言う事をお伝えしておきます。
因みに新品の状態から鍼を刺しっぱなしで暫く置いておく置鍼と呼ばれるものなら
まずありえないでしょう。
刺してる時に電気が走るような感じがした
これは鍼特有である「ひびき」と言うものになります。
突然電気が走ったりするような感じだったり、筋肉がびくっと動いたり
さながら漫画「北斗の拳」で言うと秘孔ついたあの感じと言ったらいいでしょうか。
受ける側としては突然起きるので初見の人は確実に、
そうでなくてもビックリする代物ですね。
これに関してはツボに決まったようなもののやつなので害はありません。
しかし、このひびきは好き嫌いが分かれるものでもあります。
ひびきが嫌いな人は本当嫌がりますし、逆に大好きな人は
これが無いと鍼打たれた気にならないとも言う人も実際に存在します。
鍼による内出血について
鍼を身体に刺すわけですからどうしても起きる可能性が無いとは言えない出血。
その中でも内出血についてのメカニズムも話しておこうと思います。
内出血になる原因
普段血管と言うものは弾力性があって鍼を入れた時も見事に避けてくれます。
ところが疲労が溜まってたりして血管が劣化した状態になると弾力性が失われ、
それにより避けることが出来なくて血管を突き破る事が起きやすくなります。
内出血は程度は大小あり、程度が軽ければ目立ちませんが
ひどい時は見た目がかなり酷い事になる事もあります。
確かに見た目は凄いのですがちゃんと処置の方法もありますし
期間を経るときちんと収まっていきます。
特に女性の方は気になってしまうと思いますので、鍼を打つとそのような
可能性もあると言う事は覚えておきましょう。
美容鍼等の顔に鍼を使用するときは鍼が細いと言っても血管も当然細い場所なので
そこも含めて打つときは念頭に置きましょう。
血液がサラサラになる薬を飲んでる人や高血圧の人は鍼は刺さない方がいい
脳梗塞のような血管が固まると不都合な症状の為に
血液を固める役割である血小板の成分を弱める薬がありますが
これを飲んでる人が鍼を刺すと、当然出血がしやすくなります。
よって基本その類の薬を飲んでる人もですが、
過剰な高血圧の人にも鍼は基本しないことになっています。
血圧についてはあまりにも高すぎると
マッサージも含めて禁忌とされる程なので注意が必要です。
まとめ
鍼は正しい使い方をすれば基本は本当に痛くないです。
ただ受ける側の状態によっては痛くなりやすい状況もですが
内出血の確率も上がると言う事は覚えておいてほしいです。
今まで話した内容は鍼師さんがちゃんと説明してくれるはずですが
事前に少しでも知っておくことで鍼に対しての偏見も恐らく違ってくるでしょう。
知識を知ってても恐怖だけはぬぐえないと思いますが
一度受けると余程な例外でもない限り
まず思ったほど大して痛くないと言う事がわかります。
どうしても刺すのが怖い人は刺さない鍼も世の中に存在しますので
そこから試してみるのもアリではないかなと思います。
(パイオネックスゼロや接触鍼など)
少しでも鍼に興味を持ってもらいつつも鍼の良さも体験してもらえると嬉しいです。
コメント